こんな使い方もあったワンゲートロジック

小さなディジタル回路を構成する場合や、アナログ主体の電子回路内で制御信号を扱う場合に便利なデバイスがワンゲートロジックです。例えば回路内でANDゲートとEXORゲートをそれぞれ2個だけ使う場合、伝統的な74**シリーズで構成するならば、それだけで14ピンパッケージが2つ必要になります。各パッケージにはゲートが4つずつ入っていますから、それぞれのパッケージ内で2つは不使用。ゲート換算で単純計算すると、パッケージ1つがまるまる無駄になっていることになります。CMOSロジックは入力ピンを開放することはできません。ラッチアップ、静電破壊から素子を保護するため不使用ゲートに関しても空きピン処理は必要です。つまり、使わないゲートの存在に加えて、実質的に機能していないパターンを引かざるを得ないという、無駄な使い方を余儀なくされます。その状況を改善するのがこのデバイス。必要なゲート数だけ使えるので無駄がなく、パッケージも小さいため今日の電子回路を補完するのに最適なICです。

FPGAのピンネック対策に有効

ワンゲートロジックの使用が有効なのは、設計段階からそれを想定できる小さな回路だけではありません。FPGAなどのLSIを搭載する製品のコストダウンや、モデルチェンジに於いても有効活躍が期待できます。はじめからFPGAの使用が不可避の回路を設計する場合、試作段階では大きめのチップを持ったFPGAを選ぶことが良くあります。2万ゲート規模でピン数は80程度必要と見積もれば、5万ゲートクラスの100ピンパッケージを選ぶという具合です。そして実際に必要だったピン数は82ピン。あと2つ信号が減れば一回り小型でしかも低価格の80ピンパッケージが使えたという状況は珍しくありません。いわゆるピンネック問題です。その様な状況を打開する手段としてもワンゲートロジックが使える可能性があります。FPGA内の論理をチェックすると、外に出しても差し支えないANDやORが1つや2つ見つかるのが普通です。よって、それらの回路をこの小さなICを使ってパッケージの外に追い出すことにより、FPGAのピン数が減り、それがコストダウンに貢献します。

LEDドライブ回路としても流用可能

この小さなICはLEDドライブ回路にも応用できます。ドライブ回路をディスクリート部品で組むならば、安価に流通しているトランジスタと抵抗を適当に選ぶだけ。実装率に余裕がある場合、部品配置の自由度が大きいため、この方法は理想的です。問題は部品点数が多いこと。それを気にするなら、バイアス抵抗内臓の通称デジトラが有効です。パッケージも普通のトランジスタと同様なので、小型化にも寄与します。さらに、LEDの数が6個前後であれば、1つのパッケージに7ないし8つのデジトラを内蔵したトランジスタアレイが便利です。しかし、基板の実装率が厳しく、点灯したいLEDが1個だけという状況も沢山あります。この場合、1つの方法としてFPGAからの直接ドライブが考えらますが、品質を考えた場合これは好ましくありません。実はそんな時にもワンゲートロジックが使えます。機能的にはデジトラと同じですが、1つの在庫部品として見た場合、本来の論理素子としても機能する点で遥かに価値ある存在です。NANDやNOAを標準部品に加えておけば、論理回路以外にLEDドライブにも使えるので大変重宝します。